ニッサン情報 第28号
グリセリン飼料「グリセナージ」 (その2)
乳牛の一生は病気との戦いといっても過言ではありません 。 特に周産期には多くの事故が発生し、このことが原因となって乳量や乳質が低下して酪農経営を圧迫することになります。
あるセミナーで発表された資料によりますと、これらの事故によるおおよその損害額は次のようになっています。
疾 病 名 |
1頭あたりの損害額(円) |
ケトーシス |
36,000 |
第4胃変位 |
69,000 |
乳 房 炎 |
42,000 |
蹄 病 |
54,000 |
難 産 |
32,000 |
後産停滞 |
49,000 |
起立不能 |
42,000 |
「グリセナージ」 のコンセプト
酪農業の目的は、「栄養豊かな、おいしい牛乳の生産」であることはいうまでもありません 。
この目的が達成された時に豊かな経営結果がついてくるものと考えられています。
「栄養豊かなおいしい牛乳」は、安楽な環境のもとで真に健康な牛から産出されるものなのです 。
私どもはこの目的を強く意識しながら「グリセナージ」をお届けしたいと考えました。
分娩を無難に終えた時、皆様方は事故の発生がないことを祈るような気持ちで過ごされると思います。
「グリセナージ」は、周産期のエネルギー補給を目的として開発された新しい素材です。
「グリセナージ」 の内容
「グリセナージ」は、分娩前後のエネルギーが負の状態になるのを緩和することを最大の目的としており、さらにこの時期に必要とされるビタミン類を十分に含んでいます 。 また、消化管内の整腸に欠かせない枯草菌を配合しました
「グリセナージ」 のコンセプト
「グリセナージ」に含まれる有効成分について、周産期の乳牛の生理的状態とのかかわりの中でご説明します。
成 分 名 |
グリセリン |
ビタミンE |
ニコチン酸アミド |
パントテン酸カルシウム |
カ ル ス ポ リ ン |
・ グリセリン
グリセリンは、前報でご説明しましたように安全かつ吸収のよい炭水化物です。
---ケトン体の発生---
乳牛は、乾乳後期における 胎仔の成長に要するエネルギーの増大と乾物摂取量の低下という相反する生理現象によって糖源不足が発生します。
生体は、糖の不足を補うために体脂肪を動員し、これを異化してグルコースを新生しようとする代謝回路が働きますが、脂肪動員量が多すぎたような場合には機能が不全となって脂肪肝やケトン体の発生に繋がっていくのです。
ケトン体は、一時的な食欲不振→乳量の低下という現象に止まらず、生体の免疫性を低下させて、第4胃変位や乳房炎を引き起こす確率が非常に高くなると考えられています。
---「グリセナージ」の給与の時期---
クロースアップ期から分娩後3週間、合計6週間くらい連続給与することをお奨めします。クロースアップ期では、胎仔の成長が最大となって栄養要求量が増加しますが、子宮のルーメンへの圧迫、血液中の中性脂肪の増加などによって乾物摂取量は低下します。
分娩直前の負のエネルギーバランス改善策としてグリセリンのような即効性のエネルギー源物質の給与が望まれています。
また、乾乳期間が長すぎたり、過肥の牛、逆にBCSが急に落ちた牛、分娩後の検診でケトン尿が出たような牛に対してだけ給与することでも周産期病が極端に減ったという報告もあります。
・ ビタミンE
クロースアップ期の飼料設計が重要なことはよく知られていますが、これに加えて最近ではクロースアップ期の免疫力の低下とそれに対するビタミンEの働きが注目されています。
図1 周産期の免疫機能
生体内で生じたケトン体や脂肪肝、分娩時に分泌されるホルモン類は免疫性を低下させる作用があります。
図1は乳房炎に対して重要な防禦機能を担っているリンパ球と好中球の活性が周産期に低下している様子を示しています。
この免疫力の低下はビタミンEの不足が助長していると考えられており、例えば表1に示しましたようにクロースアップ期に4,000 IU/日/頭のビタミンEを給与すると乳房炎発生が著しく抑制されたという報告があります。
分娩前後の数週間は1,000〜2,000IUのビタミンEを給与することが求められています。
表1 クロースアップ期のビタミンEと乳房炎
給与量 (日/頭) |
100IU |
1000IU |
4000IU |
初 産 |
乳房内感染(%) |
56.2 |
57.2 |
20.9 |
臨床型乳房炎(%) |
37.4 |
14.2 |
0 |
経 産 |
乳房内感染(%) |
17.9 |
14.9 |
10.0 |
臨床型乳房炎(%) |
17.9 |
17.9 |
3.8 |
・ ニコチン酸アミドとパントテン酸カルシウム
カルスポリンは、枯草菌(バチルスサブチルスC-3102株)を有効成分とする飼料添加物です。
枯草菌を胞子状態で製品化しているためきわめて安定性の高い製品です。
今、畜産動物に対する抗生物質の濫用を厳しく制限するという世界的な動きがあります。
この抗生物質に替わるものを求めて畜産業界は試行錯誤していますが、カルスポリンのような微生物製剤もその選択肢の一つとなっています 。
微生物製剤はその有用菌群が有害菌を駆逐して生体の健康を保ち、生産性を向上させることにあります。 (図2)
カルスポリンは、鶏や牛のサルモネラ菌抑制に効果が見られるところから、この用途においても評価されています。
・ カルスポリン
カルスポリンは、枯草菌(バチルスサブチルスC-3102株)を有効成分とする飼料添加物です。
枯草菌を胞子状態で製品化しているためきわめて安定性の高い製品です。
今、畜産動物に対する抗生物質の濫用を厳しく制限するという世界的な動きがあります。
この抗生物質に替わるものを求めて畜産業界は試行錯誤していますが、カルスポリンのような微生物製剤もその選択肢の一つとなっています。
微生物製剤はその有用菌群が有害菌を駆逐して生体の健康を保ち、生産性を向上させることにあります。(図2)
カルスポリンは、鶏や牛のサルモネラ菌抑制に効果が見られるところから、この用途においても評価されています。
図2 腸内菌と畜産の関係
→グリセナージ詳細
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