試験 1
試験1では、泌乳牛を用いて予備的の給与試験を行った。 試験方法 供試牛および供試頭数:東京農大・富士畜産農場で飼養している泌乳中の乳牛(ホルスタイン種)6頭を2分し、「従来・ゲンキコールCa」(以下A製品という)給与区3頭および「新・ゲンキコールCa」(以下B製品という)給与区3頭とした。 供試製品の給与方法:朝の飼料給与後に第1胃が安定する時間帯および夕刻の飼料給与までに6時間をあけることを考慮して、午前9時にA・B製品500ml/頭を経口給与した。 採血:供試製品給与直前および給与後3、6、12、24時間ごとに採血し、直ちに血漿分離して凍結保存した。血漿中成分の測定:カルシウムの測定は、分光光度計(島津製作所製)を用いて行った。 結 果 新・旧「ゲンキコールCa」給与による血漿中のカルシウム濃度の経時的変化を表2および図1に示した。 A製品では給与後6時間で最高値を示し、以後24時間まで持続する傾向を示した。これに対してB製品では給与後3時間で最高値を示し、このレベルを12時間持続して以後下降する傾向を示した。 A製品給与の供試牛とB製品給与の供試牛では開始時点のカルシウム濃度に多少の差があったことから、表3および図2のように開始時を100とした場合の経過割合を見ると、A製品給与では給与後3時間以降の血中濃度は同程度で推移していることがわかる。 これに対してB製品給与では給与後3時間でかなり高く吸収され、12時間目まで持続するが、24時間で開始時の濃度に戻ることが認められた。 総 括 一般的に牛の血漿中のカルシウム濃度は8.0〜10.0mg/dlといわれており、有効範囲を1mg/dl低下すると低カルシウム血症になり、それ以下ではカルシウムテタニーを引き起こすといわれている。 その意味において、本試験による経時的濃度変化は高値で推移しており、10mg/dlを超す値はB製品給与において多く見られた。すなわち、「新・ゲンキコールCa」の吸収は早く、12時間までは高く維持されることが認められた。 注:なお、この試験ではカルシウムのほかマグネシウムの動向も調査されていますが、血中マグネシウム濃度の値は問題がなかったと結論されています。 またリン濃度の変化についても調査が行われ、明らかにカルシウム製品給与の影響を受けているもののその濃度は一般的な牛血漿中のリン濃度の有効範囲内での変動に収まっていると報告されています。 本報告ではこれらの詳細については割愛しました。 |
表1 ゲンキコールCa給与試験の供試牛一覧 表2 ゲンキコールCa給与による血漿中Ca濃度の経時的変化(mg/dl) 図1 ゲンキコールCa給与による血漿中Ca濃度の経時的変化 表3 ゲンキコールCa給与による血漿中Ca濃度の経時的割合(%) 図2 ゲンキコールCa給与による血漿中Ca濃度の経時的割合 |