ニッサン情報 第7号
乳牛の繁殖とビタミン及びミネラル関わり(3)
西暦2000年にはNRC乳牛用飼養標準が改定されるという情報があります。現在いろいろな提言と検討が行われていますが、これは、より高度の生産性(泌乳量、乳質、繁殖)を求めるための動きです。ビタミンとミネラルについても改定があると思われますが、すでに時代を先取りして、例えばペプチドミネラルをNRC標準の2倍から3倍の高濃度で給与し繁殖率改善に成功したという報告もあります。
予防は治療に勝るという格言を思い起こして、愛牛の疾病予防、繁殖率改善のためにビタミン、ミネラル類を有効に使用すべきです。
4.疾病名/
乳房炎
対応する有効成分名/
ビタミンA,E,セレン,亜鉛
乳房炎は乳牛の疾病中最も発生が多く被害も甚大であります。乳房炎は繁殖に直接関わりをもつものではありませんが、発赤や疼痛がストレスとなって間接的に繁殖率の低下を招くとされています。
乳房炎の直接の原因は病原微生物でありますが、その感染や発症には多くの誘因があります。乳房炎は、分娩後最高乳量に達するころまでに多発することはよく知られています。これは乾乳期間中に細菌感染を受けたものが、分娩、高泌乳による母牛の体力減退時期に日和見的に発症することが多いことを示しています。
体力を維持するためには、何よりもバランスの取れた飼料栄養管理が望まれますが、分娩後にはDMIが少ないという悩みがあり、このような時期にはビタミン、ミネラルを有効に使用することを忘れてはなりません。
乳牛の血中のビタミンA濃度は、分娩前後に大きな変化を示す。通常量のビタミンAを給与している乳牛では、血中濃度は分娩3週間前から下降しはじめ、分娩当日に最低値を示し、ビタミンAの欠乏限界まで下がる。その後徐々に上昇するが、元のレベルに戻るには約3週間を要する。この前後6週間にビタミンA欠乏による障害が発生し易い。この現象を防ぐには、分娩前の血中濃度をできるだけ高いレベルに保つ必要があり、分娩2週間前に高単位のビタミンAを給与することが奨められている。
ディッピング
乳房炎予防のためのイロハと考えられます。搾乳直後には乳頭口がまだ開いており、病原菌が容易に侵入できる間隙があります。
ユニットを外した直後に有効なディッピング液で乳頭や乳頭口を感染性徴生物から防護することが何よりも大切なことです。
又最近では環境性乳房炎対策としてプレディッピングも注目されています。
ディッピングにあたっては、殺菌力を重視するあまり乳頭が鮫肌になっているものが見受けられます。
乳頭皮膚が軟らかく保たれ、スムーズな搾乳ができるような製剤を選ぶよう配慮すべきです。
ビタミンA
ビタミンAは乳腺上皮細胞の抗病性や保護と修復を受け持ちます。乳牛体内に充分なビタミンAが蓄積されていれば、乳房内に病原菌が侵入しても発症を防ぐことができます。
血中ビタミンA濃度と乳中SCC(体細胞)には次のような関係があるという実態調査報告があります。
また、急性乳房炎発症の場合のように急激なSCCの上昇が見られたときには、ビタミンA(E)の大量給与が効果があります。
ビタミンAの血中濃度 |
乳中のSCC数 |
80IU/dL |
45万/mL |
150IU/dL |
20万/mL |
150IU/dL |
20万/mL |
ビタミンEとセレン
ビタミンEの大量投与もビタミンAと同様にSCCを抑制する働きがあります。
ビタミンEは、乳腺組織の細胞膜を強くして乳房炎発症によって起こる炎症を抑えるとともに、セレンと共同して白血球が放出する酸素による乳腺細胞破壊を防ぐ効果があります。
また地区によっては、土壌中のセレン含量及び牧乾草なとのビタミンE含量の低いことが報告されており、これらの不足が乳房炎をはじめとする周産期病の誘因となっています。
ビタミンEとセレンを補給して、病気に対する抵抗力を高めることが大切なことです。
乳房炎の治療については獣医師の指示に従うべきですが、生産者の皆様は日常作業の中でビタミンA,E,セレンなどを上手に使って乳房炎予防を心がけるべきでしょう。
ニツサン商品の紹介
ビプロソマテックAE1000
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姉妹製品/ソマテック セルディ
ビプロソマテックAElOOOの内容(1包中)
ビタミンA 1,000万IU
ビタミンE 1,000mg
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乳中のSCCが上昇するのは、病原性徴生物が乳腺上皮細胞を破壊し、血中の白血球が乳房内へ大量に放出されるからです。
ビタミンAが乳腺上皮細胞を保護する働きがあることは技術情報で述べましたが、乳牛が健康であり且つ血中ビタミンA濃度が高ければ、病原性徴生物はその活動が不発に終るはずです。
しかしそれでも種々の理由によってSCCが高くなることがありますが、ソマテックを準備しておけば緊急の処置を採ることができます。
乳房が熱をもったり、発赤が見られたときには、次の要領でソマテックを給与して下さい。
SCC(分房乳)50万〜100万/mL 1包
100万〜300万/mL 1包づつ2日連続
300万/mL以上 1包づつ3日連続
バルク乳中のSCCが30万以上のときは、全頭に5日間隔で1包づつ給与する方法もあります。
分房乳中の体細胞に対する高単位ビタミンAの効果
ソマテックAE1000投与試験
体細胞数
(万/mL)
明かに乳房炎に羅患している乳牛49頭を供した試験の結果である。分房検査で乳汁中のSCCが100万/mLの乳牛に、ソマテック1包(ビタミンA 1,000万lU)を給与すると4へ7日後にはSCC値は30万/mL以下に下降した。
またSCC300万/mL程度を示すものについては1回の給与では下がりきらず、反復給与でSCC値は30万/mL以下に下降した。
SCC400万/mL程度の場合は3回の連続給与が必要であった。このように乳汁中のSCCレベルを考慮してソマテックの給与回数を決定すべきである。
ニツサン商品の紹介
ブライテートグリーン(乳頭保護液)
搾乳終了後すぐにブライテートグリーンを乳頭全体にスプレーまたは浸漬して下さい。
ニッサン情報第3号でも紹介しましたが、もう一度繰り返します。
本品は、3種のグリセリン脂肪酸エステルの微生物抵抗性を利用し、食品添加物級の原料と乳酸を組合せて作られています。
また大腸菌O-157殺菌に効果のあるカテキンを加え、幅広い抗菌力をもっています。
- 適性な濃度に調整してありますから、そのままスプレーまたはディッピングカップに入れてお使い下さい。
- 黄色ブドウ球菌、無乳性連鎖球菌が原因となって起こる乳房炎に対する抵抗性は、ヨウ素系ディッピング剤と遜色はありません。
- 黄色ブドウ球菌、無乳性連鎖球菌が原因となって起こる乳房炎に対する抵抗性は、ヨウ素系ディッピング剤と遜色はありません。
- 本品は、凍結防止効果がありますので特に冬期の乳頭保護に有効です。
- 本品は、食品添加物を原料としていますので噴霧作業中に飛散した液を吸い込んでも健康を害することがありません。また作業する人の手などの荒れを防ぎます。
- 本品は、油性ですからパーラー内の鉄材や機器類をサビから守ります。
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